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dancyu2020年3月号掲載
香川県のオリーブ畜産物
牛と豚と地鶏
日本のオリーブ栽培発祥の地 香川県
全国シェア90%以上の収穫量は日本一!
1908年 日本のオリーブ試験栽培は始まった
日露戦争後の1907年、日露漁業協定が締結され、日本は広大な北洋漁業の利権を獲得した。日本政府は大量に水揚げされる魚介類を缶詰などに加工して、欧州への輸出を目論み、漬ける原料となるオリーブオイルの国産化を目指す。 政府が選んだ香川・三重・鹿児島の3ヶ所で、唯一成功したのは香川県小豆島。そこから百十年以上の日本産オリーブの歴史が始まったのだ。
オリーブオイルを搾油した果実の残りは厄介ものに
オリーブは果肉を練って搾油をする。搾油後の果肉には多くの油分が残っているため、堆肥にするには効率が悪く、結果として、おから同様に産業廃棄物となり、オリーブ農家の悩みとなっていた。生の搾りかす(特に緑の果肉)は非常に苦いため、そのままでは家畜の餌にもならず、オレイン酸やビタミン・ミネラル類が豊富な搾りかすを、利用する試行錯誤が続いた。結果、高温乾燥によりキャラメル風味の飼料に加工すると、家畜が好んで食べることがわかり、オリーブを余すことなく利用できる道が開けた。
香川県が推し進めるオリーブブランド畜産物
オリーブ飼料を食べた家畜の脂や肉の質が変わることは間違いない。長い歴史で検証されたオリーブの力は確かだ。家畜の脂のクセがなくなり、ジューシーな肉質になるのはわかったが、肉質向上の研究は香川県畜産試験場を中心に現在進行形。オリーブ牛、オリーブ夢豚・オリーブ豚、オリーブ地鶏、牛も豚も鶏もクセがなく、甘みや旨みがオリーブ飼料を与えていないものよりも多く、今後の肉質向上が楽しみだ。
農家を訪ねた時に、こんな話を聞いた。「オリーブ飼料は仕上げの頃に与えるのだけど、与えすぎると出荷前の牛が元気になっちゃうんだよね・・・」
オリーブは平和と長寿をイメージさせる。実際、数千年の樹齢のオリーブでも立派に実をつける。まさに持続可能な農業の一つがオリーブなのは間違いない。うまいオイル、うまい肉は人の口に入り、剪定した葉や実の搾りかすは魚や家畜の餌になる。さらに、家畜の糞尿はオリーブの肥料になる。香川県ではそんな循環が始まったのだ。
㈱食文化 代表 萩原章史
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