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圧巻のうまさと香り
“江戸前ちば海苔”
海苔が好む、冬の江戸前の海とお日様と
努力を惜しまない漁師と加工場が、
素晴らしい海苔を生む
新芽が多いから口溶けが良い!
故に香りもうまみも際立つ
数千通りもの絶対評価の等級で
海苔を格付け後、入札
自らに課す厳格ルールが、
江戸前ちば海苔 高品質の証
江戸前は海苔の本家本元
当初、江戸の食文化の全ては、上方から下ってきたものが基本だった。
そんな上方スタンダード時代、上方に江戸から伝わった最初の食文化が海苔。
江戸前の豊穣の海と浅草の紙すき技術の両者が相まって海苔が生まれ、
将軍家への献上品となり、江戸前海苔は一大産業に発展した。
つまり、海苔の本家本元は江戸前である。
昭和30年代まで、三百年以上の隆盛を極めた東京産の江戸前海苔は急速な工業化による、環境悪化と養殖場の埋め立てで消滅し、『色よし・味よし・香りよし 江戸前海苔』というブランド品は文政五年(1822年)に人見村(現在の君津市)で始まった千葉海苔に継承されることとなった。
江戸前海苔が人気を博した頃
江戸初期は、上方から下って来た食文化が、江戸の食に大きな影響を与えていた。それが中期になると、江戸独自の食が生まれ、上方の食とは違った発展をしていく。
その典型が江戸前海苔。
庶民が熱々の白米を食すようになったことと、海苔・醤油の発展は密接に関係している。
汁ものに海苔、炙っては酒肴、さらに、海苔巻きの誕生は江戸に弁当革命を起こす。
それだけ海苔は江戸で人気を博し、やがて、上方に伝わった最初の江戸ものになる。
さらに、海苔は保存性があるため、武家や公家や裕福な商人が、年末年始の贈答に重用したことで、江戸前海苔は高級ブランドとしての地位を確立する。
また、軽くて保存が効く海苔は、代表的な江戸土産として、全国に知れ渡ることとなった。
(写真下:漁師の石川金衛さん)
江戸前海苔の継承者 、
『江戸前 ちば海苔』
のこだわり
東京産の海苔は消滅、
江戸前と言えば千葉県産の海苔
かつて日本一だった東京産の海苔は、昭和38年に消滅し、
現在、江戸前海苔と言えば、ほぼ千葉産のみで、その歴史は長い。
千葉県海苔養殖の歴史
千葉県の海苔養殖が始まる以前
江戸寛永年間(1624年〜43年)、江戸の海に設置した生簀に海苔が付くことからヒントを得て、ヒビ立てによる養殖が始められたと云われている。
その起源は、品川とも大森とも隅田川河口付近とも言われているが、諸説あり定かではない。大森の海苔は「御膳海苔」と呼ばれ、将軍家への献上品で、江戸初期から中期にかけて、海苔は大変に高級なもので、庶民の口に入るものではなかった。
上総海苔の誕生
四谷の海苔商人、近江屋甚兵衛は、1821年、54歳の時、江戸川河口の浦安、養老川河口の五井、小櫃川河口の木更津の村々に、海苔養殖を説いて回ったが、ヒビ立てにより海が荒れることを理由に相手にされず、知人の紹介により小糸川河口の人見村(現在の君津市)の名主守八郎右衛門の協力を得て、文政5年(1822年)に海苔の養殖に成功した。上総海苔の誕生である。
その後、海苔養殖は隣接する大堀村、青木村、西川村(現在の富津市)、坂田村(現在の君津市)などに広がり、江戸市中に販路を拡大した。
文久3年(1863年)には、上総海苔の販路拡大に脅威を感じた、大森の御膳海苔場仲間に訴訟を起こされ、御膳海苔上納前の江戸市中での販売を停止されている。
養殖技術の発達 千葉は養殖スサビノリの発祥の地
明治に入り、大堀村の平野武次郎は、海苔の種がつきやすい場所にヒビを設置して海苔を採苗し、河口よりの栄養分の多い場所に移植することで、生産性の向上と安定化に成功し、「篊建移植法(ひびだて いしょくほう)」を確立した。
当初はこの「移植法」は秘伝とされたが、明治30年(1897年)に発表され、広く普及し、 大正3年(1914年)には大正博覧会で金牌を受賞した。
昭和40年代、現在の袖ヶ浦市に位置する奈良輪地先で、特に成長が優れた養殖品種「ナラワ(奈良輪)スサビノリ」が発見され、全国に普及した。
※現在、日本で養殖されている海苔の品種のほとんどは『ナラワスサビノリ』
江戸前ちば海苔が
何故素晴らしいのか?
最高の味と香り、
さらに口溶けの良さが
千葉の海苔生産者のこだわり
江戸前海苔が育つ冬の東京湾は穏やかで、晴天に恵まれるので、海苔にとって素晴らしい環境にある。特に『こまめに養殖網を交換する』ことで、海苔の新芽が採れる回数が多いのも、江戸前の千葉海苔の魅力だ。
豊富な栄養と清らかさを兼ね備える
東京湾で育つ海苔はうまい
関東平野の多くの河川が流れ込む東京湾は、海苔が必要とする栄養に恵まれる。
冬の透明度が高い海面近くの養殖網で育つ海苔は、盛んに光合成をして、海苔に豊かな旨味(アミノ酸)を蓄積する。
生産量を犠牲にして味と香りと色を追求
一方で、鴨や海面近くに生息する草食性の魚による食害も多くなるから、最高の品質を追求する一方で、収穫量は犠牲になることになる。この量より質へのこだわりが、長年、千葉海苔の日本一レベルを支えてきた。
江戸前海苔を
厳しく査定する
『千葉県乾のり検査員』
ベテラン検査員は見ただけで、海苔が育った海の様子が目に浮かぶ『選海苔眼』
『江戸前ちば海苔』は組合による共販制度を取っているので、
共販の品質を担保する厳格なルールが存在する。
それが『千葉県乾のり共販 検査等級』。
基本等級(黒、飛、混)
エビ種別(なし、エビ、小エビ、多エビ)
一般種別等級(19種)
さらに、優上、優、特上、特、上1、1、上2、2、上3、3、上4、4、上5、5、6の15ランクで格付けされる。
全ての組合せが存在するわけではないが、数千の組合せが存在する。
各漁師が検査場に持ち込む海苔は、金属混入と含水量をチェック後、合格したものが、重量基準で分けられ、検査員が猛烈な速度と緊張感を伴って、等級が付けられる。
等級がついた海苔は人海戦術で等級別のダンボール箱に詰められていく。
年内と年明け後で重量の基準は少し違うものの、検査員は香り・色・木目(海苔の裏側の海苔の繊維状態)を見て、肌触りを感じるだけで、数千通りの組合せから、絶対評価で格付けしていく。
もちろん、その年の海の状態と収穫時期による差、各漁師の癖も頭に入れてのことだ。
お話を伺った、検査員のボス的存在の平野正行氏は検査員歴33年。
『海苔を手に取り、香りと色と触った感覚で、その海苔がどんな海で育ったかわかる』そうです。
凄い!
平野氏はそれまで※長野出身者がほとんどだった検査員の世界で、初めての千葉出身者。
検査員になった昭和59年から昨年度までに、6〜7人体制の検査員で122億枚を検査で等級付けしているので、1人で約20億枚分の目利きと等級決定をしてきた計算になる。
※冬場の厳しい海苔生産には、寒さに強い長野(特に諏訪)の出稼ぎが活躍していた。その関係で海苔の商人に長野人が多かったことに由来する。
海苔全形1枚は21㎝×19㎝だから、20億枚だとすると約80平方キロ!山手線の内側が63平方キロなので、その凄さは圧巻!
だから、触って、見て、嗅いだ瞬間に、頭の中に海苔が育っている海が見えるのだろう。
さらに、漁場や漁師や漁師の奥さん(海苔の加工は漁師の妻が主担当の場合が多い)の癖までも熟知しているのだろう・・・まさに、俺の目はごまかせない!
海苔の品種選抜にも
取組む千葉県
地球温暖化による海水温の上昇に悩む日本の水産業。江戸前海苔も例外ではない。
そのため、海水温が高くても、高品質の海苔になる品種を選抜研究している。
研究しているのは、千葉県水産総合研究センター東京湾漁業研究所。
平成17年から高い海水温でも育つ品種の研究を開始。平成24年4月に品種登録されたのが『ちばの輝き』。
ちばの輝きは秋の高水温期でも生長が良く、葉形が極めて細く、収量も多いのが特徴。葉が薄いので、口溶けが良い柔らかな海苔になりやすい。
海苔のうまみを科学する千葉県
江戸前ちば海苔は『味と香りこそ命!』と研究を続けている。
特にうまみについては、何も味をつけなくとも十分にうまいレベルで、その源は豊富なグルタミン酸と、乾燥と焼きの行程で豊富になるイノシン酸の相乗効果によることが解明されてきた。
千葉県では水産総合研究センター流通加工研究室でイノシン酸を増加させる最適な加湿・加熱処理条件を研究し、実験室レベルで、これまでより美味い海苔を作る事に成功した。今後は、実用化に向けて、さらに研究を進めている。
美味しい海苔は、毎日の食卓に欠かせない
1日2枚(6g)の
『江戸前 ちば海苔』が
おすすめ
一般的には
『うまい海苔はアミノ酸が多い』
『口溶けの良い海苔は、
消化吸収率が高い』
と言われる
海苔のうまみの主成分はグルタミン酸とイノシン酸だから、『江戸前のうまい海苔』のアミノ酸スコアが高いと考えるのは当然だ。
ちなみに、植物で唯一、イノシン酸を作れるのは海苔。さらに、椎茸のうまみであるグアニル酸も作れるから、海苔がうまいのは理論的にも間違いない。もちろん、うまい海苔でなければ理論は通じないが。
※江戸前でも、等級が低く、それほどうまくない海苔もあるのは事実
さらに、『口溶けが良い(つまり、繊維が細かい新芽)江戸前の千葉の海苔』は消化率が良い傾向というのも頷ける。
毎日の焼き海苔2枚で完璧!とは言えないが、美味しくて、無理無く食べることができる海苔で、栄養バランスを整える習慣は理にかなっている。
『うまくて口溶けの良い2枚の海苔』と熱々飯の組合せで、難なく完食のはず。
さらに、茶漬け、お結び、海苔巻き、酒肴、花巻蕎麦、パスタ、磯辺焼き・・・
海苔は意外に他の食材とは喧嘩しないから、2枚食べるのは難しくないはずだ。
たった6gでも、不足しがちな栄養素をそれなりに補えるのは嬉しい。
通常の食生活で不足している食物繊維、ビタミンA、ビタミンCは、焼き海苔2枚で10%以上補える。中でも食物繊維とビタミンCは、海苔2枚食べれば不足分をほぼ補える
ビタミンB12は、焼き海苔2枚で一日分の摂取量クリア(144%)
葉酸はおよそ半分クリア(47.5%)
良く摂ったほうが良いと言われる妊婦でも400μg/日なので、2枚で114μgは良い数字。
ビタミンKは15.6%
※血液が固まり易くなるので、ワーファリンを飲んでいる人は注意
さらに、たんぱく質比率40%は
食品全体でも高水準
アミノ酸スコアが91なので、他のたんぱく源と組み合わせると、バランスが整う。
さらに、海苔には様々なミネラルやEPAまでも含まれている。つまり、海苔は人が必要とする成分の宝庫と言っても過言ではない。
究極の海苔、 江戸前の
『初摘み青混ぜ海苔』と
『黒海苔』
江戸前の秋芽の青混ぜ海苔
特にキヌイトアオノリが混じった、
初摘みの青混ぜは食通垂涎の逸品
初摘みの千葉の青混ぜ海苔の最高等級
まさに幻の逸品
最高レベルの黒海苔に上質な青海苔(キヌイトアオノリ)が混じることで、口溶け最高にして、黒海苔の香りに、青の磯の香りが加わった海苔になる。
うまさに、微かなほろ苦さが混じる特別な海苔だ。計画して出来るものではないので、上質な青混ぜ海苔は、多くとも、数万枚と数が非常に少なく、食通垂涎の逸品だ。
日本酒の肴としても究極レベルだが、磯辺焼きにすれば餅の甘さとの合わせ技は絶品と言っても過言ではない。
江戸前ちば海苔
手入れ海苔
海苔シーズン最初に収穫される
新芽『秋芽海苔』だけを使った、
最高の海苔
最初の摘み取りのために、手を海水に入れることから、手入れ海苔と呼ばれる。
干潟の干満差により、海水中の栄養摂取と、海面近くの豊かな日照による光合成が十分に行われる一方で、干潮時に日光に晒されることで、乾燥に弱い珪藻などの仲間が死んでしまうことで、最高の海苔に育つ。
口溶けの良さ×(上質なうまみ+香りの良さ)=うまみと香りが口に広がる!
特に熱々ご飯との瞬間的なマリアージュは最高にうまい!柔らかい海苔はご飯の蒸気であっという間にほぐれ、その魅力を発揮する。
最高の海苔は江戸前といえども、シーズン中に何度も出荷されない貴重品。
パッケージ技術の進化で、開封しなければ1年間は保存できるから、1年分のまとめ買いがお勧めだ。
黒光りした漆黒の海苔が最高級?
本当にうまい海苔、香り高い海苔は、口溶けが良く、何も味付けしなくとも美味だ。
既に、本当にうまい海苔を食べた事ある日本人は珍しいと言っても過言ではない。
何故なら、一般的な海苔販路(量販店やコンビニなど)では、安い海苔しか置いていない。だから、一般的には本当に質の高い『江戸前 ちば海苔』は入手困難だ。 消費者がうまい海苔を知らなければ、お金を出して上質な海苔を買うはずもない。
結果として、高い質を追い求めてきた千葉産の海苔は苦戦している。
上質な海苔を作っても、その価値が伝わらない。味や香りや口溶けよりも、見た目を重視の流通が、漆黒で艶艶の海苔が良いと思う消費者を増やしたのも事実だ。
年によって違うが、全国の海苔生産は70億枚〜80億枚。その内、江戸前ちば海苔が占める比率は3%前後。さらに、最高にうまい江戸前の黒海苔は江戸前海苔の1%にも満たない。最高等級の青混ぜ海苔に至ってはさらに、その10分の1あるか否か。
海苔のアミノ酸構成比率は日本人が一番美味しく感じる比率に近いので、まさに日本人のソールフードと読んでも過言ではない。
特に稲作の普及と白米食の一般化により、ご飯+海苔=日本人の魂に響く美味!
本当に美味しい米を食べたことある人はそれなりにいるだろうが、本当に美味しい海苔を食べてことある人は非常に少ないだろう。
栄養的にも優れ、機能性の研究が進めば、海苔は凄いパワーの持ち主であることも証明されるだろう。
海苔の本家本元 『江戸前 ちば海苔』で日常の食の贅を極めるのも幸せだと思う。
(株)食文化 代表 萩原章史
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