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2018年9月号 厳選「取り寄せ」カタログ掲載
高知県大豊町産
「碁石茶」
生産農家わずか4軒
高知の山奥に伝わる幻の珍茶
深い谷から霧が沸き上がる吉野川上流の山間。面積の9割が森林の自然豊かな小さな村に“幻の茶”と呼ばれる発酵茶が作られています。最大の特徴は、口の中に広がる程よい酸味と発酵茶ならではの風味。中国・雲南省の酸茶がルーツといわれる「碁石茶」は身体にも優しい微生物発酵茶です。
昭和50年代には
生産農家1軒まで激減
諸説ありますが、日本に伝わったのは室町時代。13〜16世紀にかけて朝鮮や中国沿岸を荒らした瀬戸内や北九州の倭寇が持ち帰り、製法とともに現在の高知県大豊町に伝わったとされています。当時から水を選ばない発酵茶は長い航海で重宝され、瀬戸内の塩飽諸島では季節の野菜と米を碁石茶で炊き込んだ「塩飽茶粥」を食べる習慣があることから、古くから健康食材として親しまれてきたことが分かります。
江戸〜明治時代にかけては、地域の特産品として広く知れ渡りました。しかし昭和になると時代の変化から大豊町の過疎、高齢化が進み生産者が激減。昭和50年代には生産者数わずか1軒となりました。
状況が変わったのは近年の健康ブームです。メディアに取り上げられると一躍話題になり、かつて碁石茶作りをしていた地域の方々の協力もあって現在は4軒の農家が碁石茶を醸しています。
特性が異なる菌と微生物を
巧みに操る、
数百年来の経験と勘
碁石茶独特の酸味の正体は乳酸菌と酢酸菌です。これらは2段発酵という独特の製法によって生まれます。原料は大豊町で栽培されたものか、碁石茶農家が契約栽培した山茶2種(ネギツエン、ツバキエン)とヤブキタ。完成したときに碁石茶特有の四角い形状を保持するため、葉の厚さがピークになる6〜7月を狙って枝ごと収穫します。それらをすぐに大型の桶につめて2時間竈で蒸し、枝を取り払った後土間に50〜70㎝の高さに積み上げ1週間ほど放置。こうすることで土間に棲みついたカビの働きで茶葉が発酵します。その後茶葉を再び桶に詰め込み、蓋に重石をのせて15日ほど漬け込みます。この2回目の発酵により乳酸菌の量が増加し独特の酸味が生まれます。漬けあがった茶葉はおよそ3cm角に切断。真夏の炎天下で完全に乾燥させることで保存性の高い黒光りした幻の茶が完成します。
何百年も前と同じ極めてシンプルな製法ですが、好気性のカビ菌と嫌気性のバクテリアの特性が異なる微生物を巧みに使い分け、自在に操ってお茶を発酵させるのは、機材が豊かになった現代でも難しい技術です。それを天候や肌、手に伝わる感覚で按配をはかり、目に見えない微生物を味方につける術は、長い年月をかけて熟成した知恵と言えます。
クセになる酸味と苦味、
後味の清涼感が魅力
煮出す前の碁石茶の見た目はかりっとした黒い塊。手に取って見てみると茶葉が何枚もみっちり重なっています。煮出すのは簡単で、やかんで沸かしたお湯に1片を入れ約10分。その後、葉がふわっとほぐれたところで3分ほど蒸せば碁石茶の完成です。乳酸菌や酢酸菌のほのかな酸味と山茶の渋みと甘さがクセになり、後味がすっきりしているので暑い季節には冷やして飲むのもおすすめです。
500mlあたり50円弱
気軽に毎日続けられる健康茶
碁石茶100gで30片ほど入っています。1片3gで2000mlくらい煮出す勘定なので、100gで煮出せるのは66Lくらい。500mlのボトルであれば132本分です。
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