長崎県産 幻の魚 巨大クエ 鍋用カット
複雑な岩礁を住みかとするクエは数十年生きると言われている
大きなものは100kgにもなる巨大魚
幻の美魚は2〜3kgに育つまでに5年もの歳月を要する
10kgを超える大物は全てオス 岩礁の生態系の頂点に立つ王者
さらに40kg級ともなると、到底、河豚や鯛が太刀打ちできる相手ではない
滅多に水揚げされない幻の魚
クエ それも10kg以上のクエとなると、専門にクエを狙う漁師でも、月に数本しか釣り上げることができない幻の魚です。クエが住みかとする岩礁の上から、餌をつけた針を投げ込み、夜間に活発に活動して、餌を丸のみするクエが掛かるのを待ちます。
水揚げの際、口から浮き袋に棒で穴をあけ、生かしたまま生簀に入れて帰港します。年末で相場が高い時には、キロ15,000円もの価格がつくこともある超高級魚。活であることが重要だからです。
活け締めにしてから2〜4日寝かせ、脂を筋肉に
溶け込ませ、うまみを増す
長崎の五島列島や対馬海域で水揚げされたクエは、港の生簀で落ち着かせ、解体する数日前に活け締めにして、氷詰めにして築地市場に送られます。 本マグロ同様、巨躯をしばらく寝かして身をしなやかにし、うま味を増してから切ることが重要です。
巨大なクエは全て王様
クエは生まれた時は全てメス。強靭な肉体で多くのメスを従え、ハーレムの頂点に立つオスは、元はメスで繁殖を繰り返しながら成長し、その後、オスに性転換し、さらに何十年も成長し続け、数十キロの巨体になります。
ちなみに、2〜3kgになるまででも、5年ほどの年月が必要です。
40kgもの巨魚ともなれば、30〜50年間、岩礁でエビやカニやイカを丸のみし続けてきたことになります。
強固な鱗に包まれた強靭な肉体は上質な脂と筋肉の塊
クエは捨てる部分がほとんどないほど、全てが美味な魚です。
先ずは鱗ごと堅い皮を薄刃の包丁で引きます。この皮はゼラチンの宝庫。調理時にはお湯に通して鱗を外して鍋に入れて楽しみます。40kg級のクエの巨大な頭と中骨、そして、強靭なヒレの付け根はとても固いので、大人が数人がかりで解体して捌きます。
五枚におろし、さらに半分にしても大きな切り身
クエは最低でも8kgないと、その魅力がでないと言われています。理由は小さいクエはメスだからなのだと思います。
オスとメス もちろん個々人の好みでしょうが、肉を彷彿させる圧巻の身質と透き通る脂は、成熟したクエ、すなわちオスでないと出ない魅力です。
透き通るような身と脂は包丁を跳ね返す張りがある
今回の49kgのクエは締めてから2日経っていますが、肉の締まりが強力で、もう1日置いた方が良かったかと思うほどです。
切り身の見た目は魚の身ですが、加熱するとそれは肉のような性質を現します。
内臓とヒレと皮がクエの魅力
『これを食べたら他の魚はクエない』とか、『河豚よりも美味』と言われるクエですが、身はもちろんのこと、いわゆる『あら』の部分が非常に美味です。 多少の癖はありますが、それらの部分が非常に濃厚な白濁スープを生みます。
もちろん、ゼラチンも極めて豊富な皮は欠かせない美味。最後の雑炊を究極にするのも、これらの身以外の部位があってのことです。
食べる間際に解凍して、半解凍で調理を始めるのがコツ
非常に美味な内臓やヒレですが、常温に戻すと、どうしても臭みが出てしまいます。半解凍で水洗いして、下ごしらえをしてから、即、鍋に進むのが重要なポイントです。
上質な昆布+巨大なクエ=美味 さらに最高の雑炊に進化
必ず、真昆布か利尻昆布か羅臼昆布でお出汁を取って下さい。理想を言えば、前日に昆布を水につけ、鍋の前に弱火にかけ、細かなアワが出てきたくらいで昆布を出して、沸騰させてから、クエ鍋に進むのが良いです。
ポン酢とお野菜も上質なものを 骨のまわりとヒレは必食
せっかくのクエ鍋です。あまり癖のある鍋の素材は禁物です。白菜と葱、それにうまい豆腐と水菜くらいにしておくのが良いです。
ポン酢でなくとも、柑橘の絞り汁と醤油でも良く合います。ちょっと変わって、塩コショウを小鉢に入れてから、クエ鍋の汁を入れて食べても美味です。
骨周りの身、ヒレの皮、最後は手づかみで『ちゅうちゅう』やって下さい。乾くと指と指がくっつくので、その圧倒的な『コラーゲン感』を実感できます。
圧巻の締めは雑炊
小口切りの葱、卵、洗ったご飯 味付けは醤油かポン酢です。もし、鍋の当日はお腹が一杯になったのであれば、鍋の汁を軽く濾して冷蔵庫で保管です。 これで、いつでもクエ雑炊が楽しめます。冷蔵庫にいれた汁はクエの煮こごりと化すはずです。 濃厚なクエの滋味が溶け出した汁は珠玉の汁 もちろん、うどんも美味です。
何十年間で最低でも数千ものエビ・カニ・イカを食べ、岩礁の生態系の頂点を極めた王を食べるには、それなりの覚悟を持ち、余すことなく、その命を頂くことが大切だと思います。もちろん、忘れられない美味であることは間違いないです。色が薄いので、味も薄いように感じますが、実は非常に濃厚なのがクエ。 それも幻の中の幻 40kg級は圧巻の美味です。
(文・株式会社 食文化 代表取締役社長 萩原章史)
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