dancyu2011年2月号特集
嬉野温泉「とろける湯豆腐3丁セット」
「日本三大美肌の湯」の一つである嬉野温泉は、近年〝湯豆腐の街〟としても知られつつある。「嬉野温泉湯どうふ」は、地場で育てた大豆を、市内の豆腐店が加工し、各旅館が提供するという、地域が一体となって確立したブランドだ。
嬉野では昔から食べられていた温泉湯豆腐だが、このようにブランドを確立したのは2年ほど前のこと。「地産地消の新名物を広めたいと考え、地大豆を使い、湯豆腐に向く豆腐を生み出しました」と、嬉野温泉観光協会会長の山口保さん。
豆腐に使われる大豆は、嬉野産の〝フクユタカ〟のみとし、完熟度や乾燥具合を精査したものだけを冷温保存。市内の豆腐店では、豆乳濃度やにがりの量を調整して、加熱しても煮くずれせず、それでいて柔らかな口当たりとなるような、温泉湯豆腐専用の豆腐に加工している。
調理する前は普通の木綿豆腐にしか見えないが、加熱するとその個性が表れる。豆腐と一緒に鍋に入れるのは、嬉野に湧出する温泉水。火にかけてしばらくすると、温泉水が白く濁り、豆腐がトロトロほわほわになってゆく。今にも崩れんばかりの柔らかな豆腐を口に入れると、ふんわりなめらかな舌ざわりとともに、豆の豊かな旨味が広がってゆく。
湯豆腐に添えられるのは、特製の胡麻醤油。「嬉野の家庭では、湯豆腐はもちろん、おひたしやサラダなど、いろいろな料理に使う調味料です。家庭ごとに、甘塩っぱかったり、醤油が勝っていたり。うちの旅館では、ポン酢風に酸味を効かせた味にしています」と茶心の宿 和楽園女将の下田美穂子さん。胡麻醤油は、温泉湯豆腐の味わいを引き出す名脇役だ。
最近では、湯豆腐のみならず、豆腐や大豆を使ったさまざまな料理も登場し、新たな名物が増えつつある嬉野温泉。地大豆を使った嬉野の地域活性化の勢いは、まだまだとどまるところを知らない。
文・鈴木糸子 撮影・宮地 工
嬉野温泉から車で10分ほどの場所に、湯豆腐に用いられる大豆の畑が広がっている。
この大豆は、生産基準やトレーサビリティを徹底してつくられる。
生産者の一人、梶原さんが持つのが、嬉野産大豆〝フクユタカ〟。輸入大豆などに比べて、爽やかな風味や白さが特徴で、豆腐になるとより色白さが際立つ。
「フード・アクション・ニッポン」とは、日本の食を次の世代に残し、創るために、民間企業・団体・行政等が一体となって推進する、食料自給率向上に向けた国民運動です。http://syokuryo.jp
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