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がいに旨い!
(がいに:伊予弁で「ものすごく」という意味)
じゃこ天専門店
宇和島屋
小魚をすり潰して揚げる
じゃこ天
蒲鉾の一種である愛媛のじゃこ天は、宇和海沿岸で獲れる小魚を皮や骨ごとすり潰し、薄く平らにして揚げたもので、愛媛県の特産品として宇和島市では昔から親しまれてきた。白身のすり身を蒸して作る上品な味と食感が特徴の白い蒲鉾とは、味も見た目も異なる。
創業者の三浦清貴氏は地元の実業家の家系で育ち、自身が成し遂げることを模索している内に、 幼い頃から大好物だったじゃこ天に目が留まったという。
地元の特産品であるにも関わらず、宇和島でも化学調味料や保存料無添加のじゃこ天を製造しているところがほとんどないことに気づき、「それなら自分で作ろう。」と決心し、2006年3月にじゃこ天専門店の宇和島屋を創業した。
地元の新鮮な魚のうま味をダイレクトに味わってもらうため、無駄なものが入っていない栄養満点の無添加じゃこ天づくりをはじめ、試行錯誤を繰り返し現在のじゃこ天を完成させた。
地魚を原料に骨ごとすり身にして揚げるため、ジャリッとした特徴的な食感と、魚を骨まで丸ごと使った力強いうま味がじゃこ天の魅力だ。
愛媛のじゃこ天は居酒屋では酒の肴の定番メニューで、町のスーパーにはたくさんの種類が並び、 夕飯のおかずに買っていく光景が生活の中に溶け込んでいる。
自然の恩恵を受けた海の幸
全国的にも透明で美しい海として知られ、10〜20mの透明度を誇る宇和海は、近くを流れる黒潮の一部が流れ込み、潮目が二週間ごとに入れ替わる特別な現象が起きる。流入する潮によって海水が撹拌され、食物連鎖が活発な、魚の成長に適したプランクトン豊富な好漁場となっている。その宇和海で水揚げされたホタルジャコがじゃこ天の原料だ。
妥協を許さぬ素材選びと手間、
これに勝るものはない
じゃこ天を作る多くの会社が蒲鉾やちくわ、さつま揚げなど、広く練り物を製造しているというのが現状で、宇和島屋のようにじゃこ天を専門に作るお店はほとんどない。だからこそ、使う素材にも製造工程にもこだわりがある。魚の旨味と鮮度は味に直結してくるため、地元で水揚げされた新鮮な鮮魚を信頼できる仲買から仕入れている。一匹づつ手作業で鮮度を確認しながら頭と内臓を落としていく"もぐ"と呼ばれるこの作業は、ホタルジャコの頭にある耳石という硬く小さな石を取り除くためで、食感や味、歩留りに影響する職人技が必要とされている。そのまま小魚をすり潰して調味しただけでは、化学調味料を使うじゃこ天と比べると、どうしても味が物足りない。そこで「熟成」という工程を踏むことにより、うま味を最大限に引き出している。熟成させた魚は石臼ですり身にしていくのだが、ベストな温度と時間を見極めるため、職人がつきっきりで行う大事な作業だ。すり潰した身は一枚に2秒という超高速で木型に押し込むと、うま味を閉じ込めるために油で揚げていく。
もちろん調味料にも妥協はない。実際にいろいろ使ってみて、もっともじゃこ天に合うものを選んだ結果、現在は海水を天日製法の非加熱で作った海塩を使用している。海水のミネラル成分を取り込み、ほのかな甘みと独特の旨味があるこの塩が、じゃこ天との相性が抜群だった。宇和島屋のじゃこ天は熟成により骨の髄まで地魚のうま味が凝縮されていて、強めに効いた塩気と火で炙ると広がる香ばしい香りで本能に刺さる旨さだ。
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