福島伊達の桃
日本では桃は神様
中国では、『邪気を圧伏し、百鬼を制す』と言われる桃。孫悟空は古代からの品種 蟠桃を天上界で食べて不老長寿になったと言われます。日本では古事記の上巻に、伊邪那岐命(イザナミノミコト)が黄泉比良坂の坂下で黄泉軍の向かい三個の桃を投げつけ撃退する記述があります。その時、伊邪那岐命は桃の手柄を称え、以後は、人間の苦難を救うようにとの命を出し、意富加牟豆美命(おほかむづみのみこと)と名づけたと伝えられます。つまり、古来より、桃には不思議な力が宿り、子孫繁栄の象徴でもあったわけです。
福島の伊達にも桃太郎伝説が
伊達では、阿武隈川を流れてきた美しい桃を老夫婦が食べて若返り、桃太郎が生まれ、鬼退治をする物語です。
近年は、管内の桑折町に2度ほど皇太子妃殿下や雅子妃殿下が桃畑の散策におみえになったり、平成6年以降、毎年皇室へ桃を献上し続けてきたこともあり、皇室ともゆかりの深い桃として、その品質の高さが全国に知られるようになりました。
平成25年7月には、天皇、皇后両陛下が御来県され、桑折町桃農家と御懇談されて桃を召し上がりました。
平成26年も献上桃に選定され21年連続となりました。皇室に献上する桃の選果式が8月6日にJA伊達みらい桑折総合支所にて執り行われました。
西遊記、三国志に登場する蟠桃 不老長寿の桃
西遊記の中で、斉天大聖・孫悟空が天界で担当していた職務が天界の蟠桃園の管理です。
三千六百本の蟠桃の内、
前列の千二百本は三千年に一度、
実をつけ、それを食せば仙人になり、
真ん中の千二百本は六千年に一度、
実をつけ、それを食せば不老不死になり、
一番奥の千二百本は九千年に一度、
実をつけ、それを食せば、未来永久に生き続けられる
とされていました。孫悟空はこの蟠桃を盗み食いし、不老不死の肉体を手に入れたのです。
吉川英治先生の三国志(一)の桃園の巻で、劉備玄徳の母が茶壷を河に投げ捨てる場面がありますが、あの河の名前は蟠桃河です。きっと、劉備玄徳、関羽、張飛の桃園の誓いは、蟠桃の下だったのかもしれません。
蟠桃は非常にレアな桃なので、ひとつの箱の中の桃でも、同じ熟しのレベルとは限りません。基本的に追熟させて食べる桃なので、到着後は冷暗所で保管し、芳香が漂いはじめるまで待ちます。良い香りを漂わせた蟠桃から順番にお召し上がり下さい。
良い具合になってきたら、食べる30分から1時間前に冷蔵庫に入れ、少し冷たくしてから、くし型に切り分け、皮を手でむきながら頂きます。
みっちりとした果肉と濃厚な味わいは、さすが不老長寿の桃です。一般的な桃とは一線を画す、不思議な魅力があります。
有りそうで無かった価値ある桃 紅国見
福島県国見町で発見された、比較的小玉の桃です。熟すと全体的に濃紅色に染まります。
小さいですが、そのぶん甘さが凝縮されており、糖度が13〜16度と比較的高いのが最大の特長です。果汁が多いことも特長として挙げられ、口に入れると甘い果汁が口いっぱいに広がります。
福島の主力品種あかつきの由来
昭和27年に農林水産省の果樹試験場で開発されたのが『あかつき』味も日持ちも良い「れ‐13号(「白桃」×「白鳳」)」という品種でした。昭和35年より、「れ‐13号」は福島県を含む、桃の生産県で試作が進められましたが、小玉傾向の為、一県を除き、商品化は無理と見切りをつけ、栽培を中止しました。
たった一県 あきらめなかった県、それが福島県です。
そんな粘り強い福島県人を象徴するような『あかつき』。今年も、是非とも買って食べて、福島を応援したいものです。
(文・株式会社 食文化 代表取締役社長 萩原章史)
福島県の桃のエース あかつき まだ色がついていません
JA伊達みらい モモ生産部会の蓬田会長30種類以上の桃を育てる達人
JA伊達みらいの大橋組合長
『皇室・宮家への献上桃 今年は8月7日に「あかつき」を献上しました』
福島県では定期的に、放射性物質検査を行い、ウェブ上で公開しています。
ふくしま新発売(福島県の農林水産物モニタリング情報がご覧になれます)
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